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カテゴリー:「脳科学」に関するアーカイブ

脳科学は、ヒトを含む動物の脳について研究する学問分野で、神経科学とも呼ばれ、それに関連する投稿記事。

劣勢の時こそポジティンブシンキング

新書、茂木健一郎著「すべては脳からはじまる」(中公新書ラクレ:2006年12月)に限らず、脳科学の世界では、悪い方向に考えれば、全てが悪いようになるというのが、共通の認識のようです。

茂木氏は、以下のように記述しています。

人間というのは弱いもので、負けが込むと、どうしても気持ちが暗くなり、この先ますます悪くなるのではないかと思い込んでしまう。前頭葉の特定の部分の活性が落ちると、気分が落ち込み、鬱状態(うつじょうたい)になることが知られている。(中略)敗戦で、当然のことながら、そのような脳の神経回路の反応が起こり、暗い気持ちになってしまうのである。(p.219)

上記と同様の記述は、これまで読破したいずれの脳科学に関する新書にも記述の仕方は違えど示されています。如何に、ネガティンブな考え方が良くないかを示しているといえるでしょう。

しかし、脳というものは、そうした逆境でも「ばね」のような力を持っているそうで、以下のように示されています。

その一方で、脳には逆境でも自らを奮い立たせる「ばね」のような力も備わっている。人生は順風満帆のときばかりとは限らない。調子が悪いときにこそ、脳の情動系(補足:喜怒哀楽の感情のこと)や前頭葉を中心とする「自らを奮い立たせる回路」の真価が問われるのである。

脳というものは、面白いもので、どんな理由であれ、自信を持ち、前向きに行動するような活動が生まれると、ちゃんとそれに伴ったさまざまなプロセスが派生する。ポジティブな考え方を持つに至った理由が何であれ、その効用は同じことである。(p.219)

ここぞという場面で、「できる人」というのは、スポーツであれ仕事であれ、意外と一気に劣勢を挽回することができるのは、こうした「脳の特性」をふんだんに利用しているのでしょう。「根拠の無い自信」は、脳を活性化するのに一役かっているのでしょうね!

試合の前から、「もしかしたら負けるかも・・・」と考えた瞬間に、既に脳の中ではネガティンブに働き始める。それよりも、根拠がなくても、「今日は勝ている」とか「今日は良いゲームにする」といった自信を持つことが必要なのでしょう。

脳は快楽を好む!

すべては脳からはじまる (中公新書ラクレ)新書、林成之著「勝負脳の鍛え方」 (講談社現代新書:2006年10月)は、本ブログの内容を大きく変化させてしまったばかりではなく、私個人の中に、大きなウェーブを巻き起こしてくれました。こんな面白い世界、即ち「脳科学」という世界があるなんて!もっと早くに知っていれば、もうちょっと違った人生になっていたかもしれませんが。

その「勝負脳」でもポジティブな考え方が効果的であると記されていますが、最近完読した茂木健一郎著「すべては脳からはじまる」(中公新書ラクレ:2006年12月)でも同じ内容の記述があります。

「脳にとっての「最大の報酬」」というタイトルで以下の様に示されています。

脳は快楽主義者である。何か行動を起こして、その結果、脳の中で報酬(うれしいこと)を表す物質であるドーパミンが放出されると、その行動が強化される。(p.73 ~ 74)

赤ちゃんがお腹が空いて泣くとミルクをもらえるということになれば、「お腹かが空けば泣く」という行動が強化されるし、学校で宿題をやってきたことを誉められると、「もっと勉強しよう」という行動にでる。即ち、誉められることによって、行動を強化することができるというのです。

更に、以下のような一節があります。

他人の行動を変えようと思ったら、「ほめる」のが一番である。認められることは、社会的動物である人間の脳にとって最大の報酬の一つだからである。子どもはほめて育てよ、とよく言うが、脳の仕組みから見ても理に適っている。(p.75)

また、上記の記述に続けて次のように説明されています。

自分のある行動を強化しようと思ったら、その行動の直後にうれしいことがあるように心がければよい。必ずしも世間的な成功や他人からの賞賛を得る必要なない。いわゆる自己満足でもよいのである。(p.75)

科学的には、ドーパミンという物質が重要な役割をしているようですが、脳科学の世界では、こうした「ほめる」という態度が非常に重要だということが、共通の認識のようです。厳しく躾ける、というのも必要だとは思いますが、やはりそうした中にも「ほめる」ことを入れ込むことが重要ですね!

試合に勝つ「技」を磨くための 7 つの習慣

衝撃的な出会いだった新書、林成之著「勝負脳の鍛え方」 (講談社現代新書:2006年10月)は、内容的にもっと理解を深めたくて、その後いろいろと脳科学に関連した新書を読みあさっています。

そうしたインパクトを与えてくれた林成之氏の主張の中に、運動神経を良くするための 7 つの方法を記述している一節があります。即ち、試合に勝つ「技」を磨くための習慣を記述しています。

  1. 性格を明るくして常に前向きの思考をする。
  2. 常にやる気をもって行動する。
  3. 何事も気持ちを込めておこなう(運動するときだけでは駄目です)。
  4. 何に対しても勉強し、楽しむ気持ちを持つ。
  5. 感動と悔しさは生きているからこその宝物と考え、大切にする。
  6. 集中力を高める。
  7. 決断と実行を早くする。

上記を実行することによって、運動神経か発達する、即ち、運動の達人なれるということです。林氏は、運動神経とは、空間認知知能と深く関わっていて、運動神経を向上させるためには、空間認知知能を発達させる必要があると論じています。

空間認知知能とは、表現知能の一つで、言語知能、理論知能、計算知能、音感知能、運動知能と同列で扱われる知能で、それぞれを関連させて向上させることで発達していくという理論が脳科学の世界では常識のようです。上記のような 7 つの習慣を日常の生活の中で心掛ける。それによって運動神経も向上する。

ちょっと信じられないような話ですが、「スポーツ選手は歌が上手い」、「スポーツ選手は計算が速い」、「スポーツ選手はおしゃべり上手」等の噂話を嫌というほど聞いてきた私にはとにかく説得力があるわけです。

茂木健一郎氏、すべては脳からはじまる!

すべては脳からはじまる (中公新書ラクレ)現在、脳科学の世界で最も知名度が高いのが、茂木健一郎氏ではないでしょうか。私は、これまでに茂木氏の著書を読んだことがないので、マイブームが脳科学といっても何となく何かが掛けているようで・・・

そこで、書店で目につた茂木健一郎著「すべては脳からはじまる」(中公新書ラクレ:2006年12月)を衝動買い。どうやら週刊誌である「読売ウィークリー」に連載されていた記事をまとめた内容のようです。

気楽に読めるし、茂木氏特有の解り易い言い回しは、とにかくすらすらと読んでいく事ができるし、難しい表現もまったくなく「流石だな~」と感心させられるのですが・・・

ただ、私個人としては、こうした短編の寄せ集めはどうも好きではない!まったく視点の違う(といっても脳科学という視点では一致しているのでしょうけど・・・)内容が次から次へと展開される。もうちょっと詳細が知りたいな、それで次はどうなっているの、といった個人的な興味は全て短くまとめられてしまっていて、まったく違った内容の章が登場するのですから私としては、ちょっとしたストレスです。

特に、スポーツに関連した章も結構沢山あって、興味のある内容ですが、全てが中途半端な気がしてしまいます。もうちょっと長めの文面にしてくれれば違った見方ができたのに。

そうした中、とにかく素晴らしい一文が・・・

自分でも、他人でも、やれるかどうか不安なときは、とりあえずは脳の適応力のほうに賭けてみる。それが、脳を研究する中で培われてきた私の「流儀」である。(p.94)

人は、新しい事を始める時に、誰もが反対するようなことでも、どんな困難でも、何とか乗り越えてきました。それには、ルールを策定したり、失敗したり。それでも意外と簡単に乗り越えてしまったりするのが人間。即ち、それだけ「脳」というものは適応力があって、更に未知なる可能性を引き出してくれる、というのが茂木氏の主張です。

こうした茂木氏の主張を「そりゃ、理想論だな」と笑い飛ばすか、「なるほど!脳の未知なる可能性に賭けてみよう」と思うかで、人生も変わってくる!??

記憶の階層:タルビングによる記憶システム相関

先日の公開投稿記事、「記憶の分類:スクワイアの記憶分類」において、5 つの記憶の種類があることを学びました。その 5 つとは、以下の通りでした。

  • 短期記憶:30 秒~数分以内に消える
  • エピソード記憶:長期記憶で個人の思い出
  • 意味記憶:長期記憶で知識
  • 手続き記憶:長期記憶で体でおぼえるものごとの手順
  • プライミング記憶:長期記憶で勘違いのもと?

出典:池谷裕二著「記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方」(ブルーバックス:2001年1月) p.68-69

さて、上記の 5 つの記憶に関して、お互いに階層を作っていると説明されていて、記憶を知る上で非常に重要な概念だそうです。その階層とは、上記の新書中に以下の通りとしています。

  1. 手続き記憶(潜在記憶)
  2. プライミング記憶(潜在記憶)
  3. 意味記憶(潜在記憶)
  4. 短期記憶(顕在記憶)
  5. エピソード記憶(顕在記憶)

(同新書:p.72)

上記リストで、項目 1 から順に 5 に従って、記憶は原始的な、即ち生命の維持にとってより重要な記憶であって、エピソード記憶が最も高度な内容を持った記憶ということです。

上記のような記憶の階層の概念は、「記憶のシステム相関」という考え方で、タルビングというカナダの心理学者が提唱した、ということで、心理学と脳科学が非常に近い!?ことを意味しているような気がしますが。

さて、この記憶の階層ですが、次のようなことが解っているそうです。

子供から大人の成長過程で、最も早く発達するのが「手続き記憶」で順に「プライミング記憶」、「意味記憶」、「短期記憶」、そして最も発達が遅いのが「エピソード記憶」。即ち、年齢と共に記憶の種類が変化していくのだそうです。3歳~4歳位までは、「手続き記憶」が特に発達し、10歳位までは「意味記憶」が発達するそうです。それ以降は、即ち短期記憶やエピソード記憶が発達するということになるわけです。

こうして、「記憶」を階層化すると、年齢と共に勉強の仕方に変化を与えないと記憶に残らないということになりますよね。

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